砂のお城
子供の頃、砂のお城をつくることに夢中だった。
近所の砂場でも、浜辺でも夢中でつくった。
いつしかその砂のお城を、本物の城のようにつくるのが楽しくなっていった。
しかし、その城のがちゃんとうまくできてるかどうか気にしはじめてから、楽しみは段々変化していった。
もっと上手に砂のお城を作りたい…!!
子供心ながらにそう思って、夢中でお城らしいものをつくろうとしていたが
いつしか僕は城を作らなくなった。
子供ながらに人の目を気にして、作ることをやめてしまった。
大人からみれば、どんなに上手につくれても、それは砂のお城なのに。
そして僕は他の遊びに夢中になった。
だけど、砂のお城に夢中になっていたときに感じていたあの気持ちは
立派な城をつくることとは関係なかった
ただ、どんなお城でも、つくることが楽しかった。
大人になると、そんなつまらないことに引っ掛かってしまうことがたくさんある。
だけど、そんな大人だからこそ、子供のように生きてみようと思う。
その楽しみは、ずっと変わらず僕を待っていてくれていたから。